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生まれてからただの一度も、人に言ったことはないのだけど。実はルクルーゼの鋳物ホーロー鍋製品は私の中で永遠の憧れである。10代の頃に初めて知って、可愛らしいソースパンが欲しかった。一番心に刺さってしまったのが「色」である。当時の私には見たこともない色味でものすごく不思議だった。緑の色が日本語であらわす「緑色」とは、どう見ても違うのだ。ソースパンを手にとってその重さに驚き、「これで料理はできない」と思った。実際にはその重さの分厚みがあって熱伝導が良く、蒸気をコントロールする形状のおかげで野菜の甘みを...
続きを読む≫ 2014/06/10 16:00:26 メイン
20代になってからはルクルーゼがフランス生まれだと知った。定番のココットロンドで煮込み料理をしてみたかった。そしてココットロンドの深い深いグラデーションの入った赤やオレンジ色に魅了された。機械だけでなく職人さんの手も加わって作られた鋳物は、すべて微妙に違う色合いに出来上がるのだ。日本にはない色彩感覚がやっぱり心に刺さってしまった。男性には、例えばF1のベネトンルノーのブルーと言えば想像しやすいだろうか。F1を見ながら私は1人で(なんて日本では見ない青なんだ!)と全然違うことを考えていた。私はブル...
続きを読む≫ 2014/06/10 16:00:56 メイン
30代、調べてみれば「煮込み料理をするならば他のメーカーにも良い鍋がある」なんて情報も知りつつも、それでもなおルクルーゼが欲しいと思う。あの「色」のせいである。最初にソースパンに出会ってから30年、いまだにどの色を見ても全部が自分の中にある「好きな色味」にマッチしてしまう。そしてその色味を表現する言葉が自分のツボにヒットする。例えば白系は「ホワイト」の他に、クリーム色がグラデーションになったシックな色を「デューン」(砂丘)と名付けている。なんて綺麗なセンスだろう。黒系は「ブラック」だけじゃなくて...
続きを読む≫ 2014/06/10 16:01:23 メイン
それなのに、もう買おうと思えば買えるのに。40代、いまだにひとつも持っていない。本格さ加減がプレッシャーなみたいだ。あれだけの鍋を買って、それに見合った料理をすることが想像できない。実際は、ルクルーゼのレシピには肉じゃがも出てるし、普段使いで普通に調理すればいいはずなのに。子供の頃からの憧れは、ルクルーゼをとんでもなくハードルの高い高級ブランドに押し上げてしまったのかもしれない。
だから、ルクルーゼが欲しいなどと人に言ったこともない。「買ってみたけどやっぱり重くて普段使いにはちょっと」なんて言う...
続きを読む≫ 2014/06/10 16:01:48 メイン